土踏まずのアーチ構造は、歩行や走行時の衝撃を吸収し、体重を効率よく分散させるための重要な役割を担っています。このアーチが低下し、足の裏全体が地面にべったりと接してしまう状態を「扁平足(へんぺいそく)」と言います。扁平足は、先天的な要因だけでなく、加齢による筋力低下、体重増加、長時間の立ち仕事、合わない靴の使用、運動不足など、後天的な要因によっても進行することがあります。そして、この扁平足が、歩くと土踏まずが痛むという症状の大きな原因の一つとなるのです。扁平足になると、まず足底筋膜に過剰な負担がかかりやすくなります。アーチが潰れることで足底筋膜が常に引き伸ばされた状態になり、微細な断裂や炎症が起こりやすくなるため、足底筋膜炎を発症しやすくなります。また、アーチを支えるための筋肉(後脛骨筋など)や靭帯にも持続的なストレスがかかり、これらの組織にも炎症や痛みが生じることがあります。特に、後脛骨筋腱機能不全は、成人期に進行する扁平足の主な原因の一つとされ、内くるぶしの下あたりから土踏まずにかけての痛みや腫れを引き起こすことがあります。さらに、扁平足では、足裏の衝撃吸収能力が低下するため、歩行時や運動時に膝や腰など、足以外の部位にも負担がかかりやすくなり、これらの部位の痛みの原因となることもあります。扁平足の人が土踏まずの痛みを感じやすいのは、このように足の構造的なバランスが崩れることで、特定の組織に過剰な負荷が集中してしまうためです。自分の足が扁平足かどうかを簡易的にチェックする方法としては、濡れた足で乾いた床に足跡をつけてみる方法があります。正常なアーチがあれば、土踏まずの部分は床につかず、足跡がくびれていますが、扁平足の場合は、土踏まずの部分まで足跡がべったりとつく傾向があります。もし、歩くと土踏まずが痛む症状があり、かつ扁平足の傾向がある場合は、整形外科や足の専門医に相談し、適切なアドバイスや治療(インソールの使用、運動療法など)を受けることをお勧めします。
扁平足と土踏まずの痛みの関係性とは