子供が「ものもらい」で眼科を受診した場合、医師はまず問診と視診でまぶたの状態を詳しく確認し、麦粒腫なのか霰粒腫なのか、あるいは他の疾患の可能性はないかを診断します。その診断に基づいて、適切な治療法が選択されます。「麦粒腫」と診断された場合、治療の基本は細菌感染を抑えるための「抗菌薬」の使用です。主に、抗菌成分の入った点眼薬(目薬)や眼軟膏が処方されます。点眼薬は1日に数回、眼軟膏は1日に1~2回(寝る前など)まぶたの裏側や患部に塗布します。医師の指示通りに、決められた期間、きちんと使用することが大切です。炎症が強い場合や、感染が広範囲に及んでいる可能性がある場合には、内服の抗菌薬が処方されることもあります。また、膿が溜まって腫れが強い場合には、医師が針で小さく切開して膿を排出する「切開排膿(せっかいはいのう)」という処置を行うこともあります。これにより、痛みや腫れが急速に軽減し、治癒が早まることが期待できます。局所麻酔で行われることが多いですが、子供の場合は状況に応じて鎮静が必要になることもあります。「霰粒腫」と診断された場合は、治療法が少し異なります。炎症を伴わない小さな霰粒腫で、自覚症状もほとんどない場合は、特別な治療はせずに経過観察となることもあります。しこりが気になる場合や、軽い炎症を伴う場合には、抗炎症作用のあるステロイド点眼薬や眼軟膏、あるいは非ステロイド性の抗炎症点眼薬が処方されることがあります。また、霰粒腫の中に直接ステロイドを注射する「ケナコルト注射」という治療法もあります。これにより、しこりが小さくなったり、炎症が治まったりする効果が期待できます。ただし、皮膚の色が白っぽくなるなどの副作用の可能性もあるため、医師とよく相談して行われます。これらの保存的治療で改善が見られない場合や、しこりが大きくて美容的に問題がある場合、あるいは角膜を圧迫して視力に影響が出る可能性がある場合には、外科的な「霰粒腫摘出手術」が検討されます。これは、まぶたの裏側(結膜側)または表側(皮膚側)から小さく切開し、霰粒腫の内容物と被膜(袋状の組織)を掻き出す手術です。局所麻酔で行われることが多いですが、子供の場合は全身麻酔下で行われることもあります。治療は医師が子供の状態を見て判断するため、不安や疑問は遠慮せず確認し、納得して治療を受けましょう。