咳喘息の治療中でも、咳の症状が急に悪化し、止まらなくなってしまうことがあります。そのような時は、パニックにならず、落ち着いて適切な対処を行うことが重要です。まず、手元にあれば、医師から処方されている「短時間作用性β2刺激薬(SABA)」の吸入器(いわゆる発作治療薬、リリーバー)を使用しましょう。SABAは、気管支を速やかに広げ、咳発作を和らげる効果があります。決められた用法・用量を守って吸入してください。通常、数分から10分程度で効果が現れ始めますが、もし1回の吸入で効果が不十分な場合は、医師の指示があれば、一定の間隔(例えば20分程度)をあけて再度吸入することができます。ただし、SABAを1日に何度も使用しなければならない状態は、気道の炎症が悪化しているサインであり、根本的な治療の見直しが必要です。SABAを使用しても咳が全く改善しない、むしろ悪化する、呼吸が苦しい、唇や顔色が悪くなる、意識が朦朧とするといった場合は、重篤な発作である可能性があり、救急外来を受診するか、場合によっては救急車を呼ぶ必要があります。自宅でできる対処法としては、まず「楽な姿勢をとる」ことです。座って少し前かがみになったり、テーブルに肘をついて上半身を支えたりすると、呼吸が楽になることがあります。横になると咳が悪化することが多いため、できるだけ上半身を起こした状態を保ちましょう。次に、「水分を少量ずつ摂る」ことも、喉の乾燥を防ぎ、咳を和らげるのに役立つことがあります。冷たい水よりも、常温の水や白湯、温かい飲み物(刺激の少ないハーブティーなど)の方が良いでしょう。また、「ゆっくりと深呼吸をする」ことを意識しましょう。咳き込んでいる時は呼吸が浅く速くなりがちですが、意識してゆっくりと息を吸い、長く吐き出すことで、気道の緊張が和らぎ、咳が少し落ち着くことがあります。鼻から吸って口からゆっくり吐き出す腹式呼吸も試してみると良いでしょう。そして、咳を誘発する可能性のある「刺激物から離れる」ことも大切です。タバコの煙、ホコリ、強い香り(香水や芳香剤など)、冷たい乾燥した空気などは、咳を悪化させる原因となります。可能であれば、部屋の換気をしたり、加湿器を使ったりして、空気環境を整えましょう。これらの対処法は一時的なもので、症状が繰り返す場合は主治医に相談し、治療計画の見直しが必要です。
咳が止まらない!咳喘息の症状悪化時の対処法