急にお酒が飲めなくなった、あるいは以前のように楽しめなくなったという変化は、身体的な問題だけでなく、精神的なストレスや心の病気が影響している可能性も考えられます。心と体は密接に繋がっており、精神状態の変化が飲酒行動やアルコールに対する感受性に影響を与えることは少なくありません。まず、強い「ストレス」を感じている時、一時的にお酒の量が増える人もいれば、逆に全くお酒を受け付けなくなる人もいます。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、消化器系の機能を低下させることがあります。その結果、胃もたれや吐き気などが起こりやすくなり、アルコールの分解能力も低下して、少量でも悪酔いしやすくなることがあります。また、心理的に「お酒を飲む気分になれない」という状態になることもあります。次に、「うつ病」や「不安障害」といった精神疾患を抱えている場合、アルコールに対する反応が変化することがあります。うつ病の症状の一つとして、これまで楽しめていたことへの興味や喜びが失われる「興味・喜びの喪失(アンヘドニア)」があり、これが飲酒意欲の低下に繋がることがあります。また、うつ病や不安障害の治療薬(抗うつ薬や抗不安薬など)を服用している場合、アルコールとの相互作用によって薬の効果が強まったり、副作用(眠気、ふらつきなど)が強く出たりする危険性があるため、医師から禁酒または節酒を指導されることが一般的です。このような状況から、結果として「お酒が飲めなくなった」と感じるようになることがあります。さらに、過去の飲酒に関連した「トラウマ体験」も影響することがあります。例えば、ひどい悪酔いをして苦しい思いをした経験や、飲酒が原因で大きな失敗をした経験などが、無意識のうちにアルコールに対する嫌悪感や恐怖心を生み出し、お酒を受け付けなくなることがあります。これは、一種の条件反射のようなものです。また、アルコール依存症の治療過程で断酒をしている人が、再び飲酒することへの抵抗感から「飲めなくなった」と感じるケースもあります。このように、精神的な要因は多岐にわたります。もし、お酒が飲めなくなったという変化とともに、気分の落ち込み、不安感、不眠、食欲不振といった精神的な不調を感じている場合は、精神科や心療内科に相談することを検討してみましょう。
精神的なストレスやうつ病がお酒を受け付けなくさせる?