バセドウ病の疑いがある、あるいは健康診断で甲状腺機能の異常を指摘された場合、どの医療機関の何科を受診すれば良いのか、迷うことがあるかもしれません。バセドウ病は甲状腺ホルモンの過剰分泌が原因であるため、ホルモンや内分泌系を専門とする医師のいる医療機関を選ぶことが大切です。最も専門的な診療科は、内分泌内科（または代謝内科、内分泌・代謝内科）です。内分泌内科医は、甲状腺、下垂体、副腎、膵臓（インスリンなど）といった内分泌器官の病気全般を扱っており、バセドウ病の診断と治療（薬物療法、アイソトープ治療、手術療法の選択と管理など）において、最も専門的な知識と経験を持っています。血液検査による甲状腺ホルモン値や自己抗体の測定、甲状腺超音波検査、甲状腺シンチグラフィといった専門的な検査を行い、正確な診断を下し、個々の患者さんに合わせた治療計画を立ててくれます。また、治療中の副作用の管理や、長期的なフォローアップも行います。医療機関によっては、「甲状腺外来」や「甲状腺専門医」といった形で、より甲状腺疾患に特化した診療を行っているところもあります。これらの専門外来では、バセドウ病だけでなく、橋本病（慢性甲状腺炎）や甲状腺腫瘍など、様々な甲状腺疾患の診断と治療を受けることができます。もし、お近くに内分泌内科や甲状腺専門外来がない場合は、総合病院の内科を受診するのも一つの方法です。総合病院の内科には、内分泌を専門とする医師が在籍している場合がありますし、必要に応じて他の専門科（例えば、眼症状が強い場合は眼科、手術が必要な場合は外科など）との連携もスムーズに行われやすいというメリットがあります。かかりつけ医がいる場合は、まず相談し、紹介状を書いてもらうのも良いでしょう。重要なのは、自己判断せずに、甲状腺疾患の診療経験が豊富な医師のいる医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることです。日本甲状腺学会や日本内分泌学会のホームページなどで、専門医のリストを検索することもできます。