夕方から夜にかけて、特にじっとしている時や寝ようとする時に、脚(主にふくらはぎや太もも、足の裏など)に何とも言えない不快な感覚が現れ、脚を動かさずにはいられなくなる――これが「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)」の主な症状です。「むずむずする」「虫が這うような感じ」「ピリピリする」「火照る」「痛がゆい」など、その感覚の表現は人によって様々ですが、共通しているのは「脚を動かすと不快感が和らぐ、あるいは消失する」という点です。この症状のために、寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりして、深刻な睡眠障害や日中の倦怠感、集中力低下などを引き起こすことがあります。では、このむずむず脚症候群かもしれないと感じた時、最初にどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。むずむず脚症候群の診断と治療を専門的に行っているのは、主に「神経内科」です。神経内科医は、脳や脊髄、末梢神経、筋肉の病気を専門としており、むずむず脚症候群の原因と考えられている脳内の神経伝達物質(特にドパミン)の機能異常や、鉄欠乏などについて評価し、適切な診断と治療を行います。また、睡眠障害を伴うことが多いため、「睡眠専門外来」や、睡眠医療に詳しい「精神科」「心療内科」でも相談に応じてくれる場合があります。特に、睡眠専門外来では、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)などの精密検査を通じて、他の睡眠障害(周期性四肢運動障害など、むずむず脚症候群に合併しやすい)の有無も評価することができます。しかし、いきなりこれらの専門科を受診することに迷う場合や、かかりつけ医がいる場合は、まずはその医師に相談してみるのが良いでしょう。かかりつけの内科医などは、症状の初期評価を行い、鉄欠乏性貧血の有無などを確認し、必要に応じて専門医への紹介状を作成してくれます。重要なのは、この不快な症状を単なる「足の疲れ」や「気のせい」と片付けずに、医療機関に相談することです。適切な治療によって症状が大幅に改善する可能性のある疾患だからです。