指を切ってしまった際、爪も一緒に損傷してしまうことは少なくありません。爪が割れたり、剥がれたり、あるいは爪の下に出血(爪下血腫:そうかけっしゅ)ができたりした場合、どこで診てもらえば良いのでしょうか。また、どのような処置が必要になるのでしょうか。指の傷と爪の損傷が同時にある場合、主な受診先としては、整形外科または形成外科が考えられます。整形外科医は、骨、関節、筋肉、靭帯、腱、そして爪といった運動器系の外傷や疾患を専門としています。爪は皮膚の一部であると同時に、指先の保護や機能にも関わる重要な組織です。整形外科では、爪の損傷の程度や、その下にある爪床(そうしょう:爪の下の組織)や骨の状態を評価し、適切な処置を行います。例えば、爪が部分的に剥がれていたり、割れていたりする場合は、残っている爪を保護したり、場合によっては不要な部分を除去したり、あるいは特殊なテープや人工爪などで固定したりすることがあります。爪下血腫が大きく、痛みが強い場合は、爪に小さな穴を開けて溜まった血液を排出する処置(穿孔排膿)を行うこともあります。これにより、圧力が下がり、痛みが軽減されます。形成外科も、皮膚や軟部組織の損傷、そして整容的な側面を重視した治療を得意とする診療科です。爪の損傷に対しても、機能回復だけでなく、できるだけきれいに治すことを目指した治療を行ってくれます。特に、爪の変形が残る可能性が高い場合や、指先の美容的な問題が気になる場合には、形成外科への相談も有効です。皮膚科でも、爪の疾患や軽度の外傷に対応している場合がありますが、爪の深い部分の損傷や、骨への影響が疑われる場合は、整形外科や形成外科へ紹介されることが多いでしょう。いずれの科を受診するにしても、爪の損傷は放置すると、爪が変形して生えてきたり、細菌感染を起こしたり、あるいは慢性的な痛みの原因となったりすることがあります。自己判断せずに、早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。