子供のまぶたの腫れや赤みは、「ものもらい(麦粒腫や霰粒腫)」が原因であることが多いですが、中にはものもらいと症状が似ていて間違えやすい他の目の病気も存在します。正確な診断のためには、眼科医の診察が不可欠です。まず、「眼瞼縁炎(がんけんえんえん)」は、まぶたの縁(まつ毛の生え際あたり)に起こる炎症です。細菌感染やアレルギー、皮脂の過剰分泌などが原因となり、まぶたの縁が赤くなったり、ただれたり、かゆみやフケのようなものが出たりします。麦粒腫と合併することもあります。「アレルギー性結膜炎」や「アレルギー性眼瞼皮膚炎」も、まぶたの腫れや赤み、かゆみを引き起こします。花粉やハウスダスト、特定の食物などが原因となり、目をこすることで症状が悪化しやすいです。ものもらいのような局所的な腫れというよりは、まぶた全体がむくんだように腫れることが多いです。また、虫刺されも、まぶたの腫れの原因としてよく見られます。蚊やブヨなどに刺されると、まぶたが赤く腫れ上がり、強いかゆみや痛みを伴うことがあります。刺し口が見つかれば診断の手がかりになります。「眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)」は、まぶただけでなく、眼球の周囲の組織にまで細菌感染が及んだ重篤な状態で、まぶたの著しい腫れ、赤み、痛み、熱感に加え、眼球運動障害(目が動かしにくい)、視力低下、発熱などの全身症状を伴うことがあります。これは緊急性の高い疾患であり、速やかな抗菌薬の全身投与(点滴など)や、場合によっては手術が必要となることもあります。副鼻腔炎(蓄膿症)から波及することもあります。「涙嚢炎(るいのうえん)」は、目頭にある涙嚢という涙を溜める袋に炎症が起こる病気で、目頭が赤く腫れて痛んだり、膿が出たりします。これも抗菌薬治療が必要です。稀ではありますが、子供のまぶたにできる腫瘍(血管腫やリンパ管腫、横紋筋肉腫など)が、初期にしこりや腫れとして現れることもあります。これらの疾患は、それぞれ治療法が異なるため、自己判断せずに、必ず眼科医の診察を受け、正確な診断と適切な治療を受けるようにしましょう。