包丁やカッターナイフなどで指を切ってしまった場合、傷の処置や感染予防のために医療機関を受診する必要がありますが、外科と皮膚科、どちらが良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と、状況に応じた選び方について解説します。まず、外科は、手術的な治療を専門とする診療科ですが、外傷(ケガ)全般の初期対応も行っています。指を切った傷(切創:せっそう)は、皮膚だけでなく、皮下組織や筋肉、場合によっては神経や腱、骨にまで損傷が及んでいる可能性があります。外科では、傷の深さや範囲を評価し、必要に応じてレントゲン検査などで骨折の有無を確認したり、傷の洗浄・消毒、異物の除去、そして縫合処置などを行います。また、破傷風などの感染症予防のためのワクチン接種や、抗菌薬の処方も行います。特に、傷が深く、出血が多い、あるいは神経や腱の損傷が疑われるような重症の場合は、外科での専門的な処置が不可欠です。次に、皮膚科は、皮膚や爪、毛髪といった体表面の病気を専門とする診療科です。指を切った傷が比較的浅く、皮膚表面の裂傷や擦り傷が主な場合、あるいは軽度の感染が疑われる場合は、皮膚科でも対応可能です。皮膚科では、傷の消毒や軟膏処置、感染予防のための抗菌薬の処方などを行います。また、傷跡が残りにくくするためのスキンケア指導や、テープ固定による傷の保護などのアドバイスも受けられる場合があります。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず傷の状態を客観的に見てみましょう。明らかに傷が深く、出血が止まらない、あるいは指が動かしにくい、しびれがあるといった場合は、外科を受診するのが適切です。傷が浅く、皮膚表面の処置が中心となりそうな場合は、皮膚科でも良いでしょう。また、総合病院であれば、両方の科がある場合が多く、必要に応じて連携して治療にあたってくれることもあります。かかりつけ医がいる場合は、まず相談して指示を仰ぐのも一つの方法です。大切なのは、自己判断せずに、必ず医療機関を受診することです。