体の片側に痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが現れる帯状疱疹。いざ医療機関を受診しようと思った時、皮膚科と内科、どちらが良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、適切な受診先を選ぶことが大切です。まず、皮膚科は、皮膚および粘膜の病気を専門とする診療科です。帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが皮膚の神経に沿って症状を引き起こすため、皮膚科が診断と治療において最も専門的な役割を果たします。皮膚科では、特徴的な発疹の分布(体の片側に帯状に広がる)や性状(赤い斑点、水疱、膿疱、かさぶたなど)を視診で確認し、多くの場合、臨床症状から診断を下します。必要に応じて、ウイルス検査(抗原検査やPCR検査など)を行い、診断を確定することもあります。治療としては、抗ウイルス薬の飲み薬や塗り薬、痛み止めの処方、そして皮膚症状に対する適切な処置やスキンケア指導などを行います。帯状疱疹後神経痛の予防や治療についても、皮膚科医が中心となって関わることが多いです。次に、内科ですが、発熱や全身倦怠感、頭痛といった全身症状が強い場合や、かかりつけ医として普段から診てもらっている場合には、まず内科を受診するという選択肢もあります。内科医も帯状疱疹の基本的な診断と治療(抗ウイルス薬の処方など)を行うことができます。また、帯状疱疹が免疫力の低下と関連していることもあるため、その背景にある可能性のある内科的な疾患(例えば、糖尿病や悪性腫瘍など)について評価したり、全身状態の管理を行ったりする上で、内科的な視点も重要になります。ただし、皮膚症状が典型的でない場合や、診断が難しい場合、あるいは専門的な皮膚の処置が必要な場合には、内科から皮膚科へ紹介されることが一般的です。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、皮膚症状が主な悩みであれば皮膚科、全身症状が強い場合や、まずはかかりつけ医に相談したい場合は内科、という大まかな目安があります。重要なのは、症状が出たらできるだけ早く(理想的には72時間以内)受診し、抗ウイルス薬による治療を開始することです。