麦粒腫(ものもらい)は、大人だけでなく、子どもにもよく見られる目のトラブルの一つです。特に、乳幼児や学童期の子どもは、いくつかの理由から麦粒腫になりやすい傾向があるため、保護者の方が注意してあげる必要があります。子どもが麦粒腫になりやすい主な理由としては、まず、衛生観念がまだ十分に発達していないため、汚れた手で目をこすったり、触ったりすることが多いという点が挙げられます。外で遊んだ後や、トイレの後など、手に様々な細菌が付着している状態で目を触ってしまうと、細菌感染のリスクが高まります。次に、免疫機能が大人に比べて未熟であるため、細菌に対する抵抗力が弱いということも関係しています。そのため、大人であれば問題にならないような少量の細菌でも、感染・炎症を起こしやすいのです。また、子どもは新陳代謝が活発で汗をかきやすいため、まぶたの汗腺や毛穴が詰まりやすかったり、細菌が繁殖しやすい環境になったりすることもあります。特に、夏場や運動後などは注意が必要です。アレルギー体質の子どもの場合は、花粉やハウスダストなどで目がかゆくなりやすく、目をこする頻度が増えるため、それが麦粒腫の誘因となることもあります。さらに、まつ毛が内側に向かって生えている「内反症(逆さまつげ)」がある場合、まつ毛が常に眼球やまぶたに触れることで、刺激になったり、小さな傷ができたりして、そこから細菌が感染し、麦粒腫を引き起こしやすくなることがあります。子どもを麦粒腫から守るための対策としては、まず、手洗いの習慣をしっかりと身につけさせることが基本です。外から帰った時、食事の前、トイレの後など、こまめに石鹸と流水で手を洗うように指導しましょう。目をこすらないように言い聞かせることも大切ですが、なかなか難しい場合は、爪を短く切っておく、目がかゆそうな時は清潔なハンカチで優しく拭いてあげるなどの配慮が必要です。寝具やタオル類も清潔に保ちましょう。もし、子どもが頻繁に麦粒腫を繰り返すようであれば、逆さまつげなどの他の原因がないか、一度眼科で相談してみることをお勧めします。