お尻から足にかけての痛みやしびれは、坐骨神経痛の典型的な症状ですが、似たような症状を引き起こす他の病気も存在するため、正確な診断が重要です。自己判断せずに、専門医の診察を受けるようにしましょう。坐骨神経痛と間違えやすい代表的な病気をいくつかご紹介します。まず、「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」です。これは、足の血管(動脈)が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりすることで、血流が悪くなり、歩くと足が痛くなったり、しびれたりする病気です。坐骨神経痛の間歇性跛行(しばらく歩くと痛みが出て休むと楽になる)と症状が似ていますが、閉塞性動脈硬化症の場合は、安静にしていても足が冷たかったり、色が悪い(紫色っぽい)、あるいは足の脈が触れにくいといった特徴があります。循環器内科や血管外科が専門となります。次に、「末梢神経障害」です。糖尿病の合併症である「糖尿病性神経障害」は、手足の末端から左右対称にしびれや痛み、感覚鈍麻などが現れます。また、アルコールの多飲や栄養障害、薬剤の副作用、あるいは稀ですがギラン・バレー症候群のような自己免疫疾患なども、末梢神経障害を引き起こし、足のしびれや痛みの原因となることがあります。これらの場合は、神経内科や内科が専門となります。また、「足根管症候群(そくこんかんしょうこうぐん)」は、足首の内側にある足根管というトンネルで、脛骨神経という神経が圧迫されて起こります。足の裏や指にしびれや痛みが生じ、特に夜間や明け方に症状が強くなることがあります。整形外科が専門です。その他、稀ではありますが、「脊髄腫瘍」や「骨盤内腫瘍」といった腫瘍性の病気が、坐骨神経やその周辺の神経を圧迫して、坐骨神経痛と似たような症状を引き起こすこともあります。これらの場合は、進行性の麻痺や、排尿・排便障害などを伴うことがあります。これらの病気は、それぞれ治療法が異なります。自己判断でマッサージをしたり、湿布を貼ったりするだけでは、症状が悪化したり、診断が遅れたりする可能性もあります。足の痛みやしびれが続く場合は、必ず整形外科や神経内科、ペインクリニックなどの専門医を受診し、正確な診断と適切な治療を受けるようにしましょう。
坐骨神経痛と間違えやすい他の足のしびれや痛み