咳喘息の発症や症状の悪化には、アレルギーが深く関与していることが少なくありません。実際に、咳喘息の患者さんの多くは、何らかのアレルギー素因(アトピー素因)を持っていると言われています。アレルギーとは、特定の物質(アレルゲン)に対して免疫系が過剰に反応し、様々な症状を引き起こす状態のことです。咳喘息の場合、気道がアレルゲンに対して過敏に反応し、炎症や収縮が起こり、咳発作が誘発されると考えられています。代表的なアレルゲンとしては、「室内塵(ハウスダスト)」が挙げられます。ハウスダストの中には、ダニの死骸やフン、カビの胞子、ペットの毛やフケ、花粉などが含まれており、これらが咳喘息の引き金となることがあります。特に、寝具(布団、枕、マットレスなど)はダニが繁殖しやすいため、こまめな掃除や洗濯、防ダニカバーの使用などが重要です。また、カーペットや布製のソファなどもホコリが溜まりやすいため、可能であれば避けるか、定期的な清掃を徹底しましょう。「花粉」も、咳喘息の症状を悪化させる代表的なアレルゲンです。スギやヒノキ、イネ科植物、ブタクサなど、特定の季節に飛散する花粉が原因となります。花粉シーズンには、外出時のマスクや眼鏡の着用、帰宅時の衣服の払い落としや洗顔・うがい、室内への花粉の侵入を防ぐための窓開けの工夫(レースのカーテンをする、花粉飛散の少ない時間帯に短時間換気するなど)が大切です。空気清浄機の使用も有効です。「ペットの毛やフケ」も、アレルギー体質の咳喘息患者さんにとっては大きな誘因となります。犬や猫、鳥、ハムスターなどのペットを飼っている場合は、定期的なシャンプーやブラッシング、ケージの清掃、寝室に入れないといった対策が必要です。場合によっては、ペットを手放すことも検討しなければならないかもしれません。「カビ」も、浴室やキッチン、エアコン内部など、湿気の多い場所に発生しやすく、その胞子がアレルゲンとなります。こまめな掃除と換気、除湿を心がけ、カビの発生を抑えることが重要です。これらのアレルゲン対策は、咳喘息の症状をコントロールし、薬物療法の効果を高める上で非常に重要です。医療機関でアレルギー検査(血液検査や皮膚テストなど)を受け、自分にとって何がアレルゲンとなっているのかを特定し、それに基づいて具体的な対策を講じることが、咳喘息と上手に付き合っていくための鍵となります。