子どもの発熱と同時に発疹が現れる病気の中でも、特に注意が必要で、かつ予防接種で防ぐことができる代表的なものに、麻疹(はしか)、風疹(三日ばしか)、水痘(みずぼうそう)があります。これらの感染症は、それぞれ特徴的な発疹の現れ方と経過をたどります。まず、麻疹(はしか)は、感染力が非常に強く、重症化しやすい病気です。潜伏期間(約10~12日)の後、発熱、咳、鼻水、目の充血といった風邪様の症状(カタル期)が3~4日続きます。この時期に、頬の内側の粘膜にコプリック斑という白い小さな斑点が見られるのが特徴です。その後、一旦熱が少し下がるかのように見えて、再び高熱になるとともに、耳の後ろや顔から赤い発疹が出現し始め、急速に全身に広がっていきます。発疹は、最初は小さな赤い斑点ですが、次第に大きくなり、互いにくっつき合って(融合傾向)、まだら状になります。発疹が出た後も3~4日は高熱が続き、その後徐々に解熱し、発疹も色素沈着を残して消えていきます。次に、風疹(三日ばしか)は、比較的軽症で済むことが多いですが、妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群という重い障害を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。潜伏期間(約2~3週間)の後、発熱とほぼ同時に、顔や首から全身に細かい淡紅色の発疹が広がります。発疹は、麻疹ほど融合せず、3日程度で消えることが多いことから「三日ばしか」とも呼ばれます。耳の後ろや首のリンパ節の腫れも特徴的な症状です。そして、水痘(みずぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。潜伏期間(約2週間)の後、発熱とともに、体幹部を中心に赤い小さな斑点(紅斑)や丘疹(盛り上がった発疹)が現れ、数時間のうちに水ぶくれ(水疱)に変化します。水疱は、強いかゆみを伴い、その後、膿疱(膿を持つ水疱)となり、最終的にかさぶたになって治癒します。水疱瘡の発疹の大きな特徴は、紅斑、水疱、膿疱、痂皮といった様々な段階の発疹が、同時に混在して見られることです。これらの感染症は、いずれも空気感染や飛沫感染、接触感染などで広がるため、流行期には注意が必要です。
麻疹・風疹・水痘発熱と発疹の典型的な経過