子どもが熱を出し、同時にお腹や背中、顔などに赤いブツブツとした発疹が現れると、親としては非常に心配になるものです。発熱と発疹が同時に見られる場合、その多くはウイルスや細菌による感染症が原因と考えられます。どのような病気が考えられるのか、代表的なものを知っておきましょう。まず、最も一般的なのは、いわゆる「風邪」に伴うウイルス性の発疹です。様々な風邪ウイルス(アデノウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなど)が、発熱とともに、体に赤い斑点や丘疹(盛り上がった発疹)を引き起こすことがあります。これらの発疹は、特定の形や広がり方を示さず、数日で自然に消えていくことが多いです。次に、注意が必要な感染症として、「麻疹(はしか)」や「風疹(三日ばしか)」、「水痘(みずぼうそう)」といった、いわゆる「三大感染症」があります。麻疹は、高熱、咳、鼻水、目の充血といったカタル症状の後に、顔から全身に融合傾向のある赤い発疹が広がります。風疹は、発熱とほぼ同時に、顔や首から全身に細かい淡紅色の発疹が広がり、耳の後ろや首のリンパ節が腫れるのが特徴です。水痘は、赤い小さな発疹から始まり、それが水ぶくれ(水疱)になり、かさぶたになって治るという経過をたどり、強いかゆみを伴います。これらの感染症は、予防接種で防ぐことができるため、定期接種をしっかりと受けておくことが重要です。また、「手足口病」や「ヘルパンギーナ」といったエンテロウイルス感染症も、夏場を中心に流行し、発熱とともに特徴的な発疹(手足口病では手のひら、足の裏、口の中の水疱、ヘルパンギーナでは喉の奥の水疱や口内炎)が現れます。「溶連菌感染症」は細菌感染症ですが、高熱や喉の痛みとともに、猩紅熱様発疹という細かい赤い点状の発疹が全身に広がることがあります。その他、川崎病や、薬疹(薬の副作用による発疹)、虫刺され、あせもなども、発熱と発疹の原因となることがあります。このように、子どもの発熱と発疹の原因は多岐にわたるため、自己判断せずに、速やかに小児科を受診し、医師の診察を受けることが大切です。