帯状疱疹は、水痘(みずぼうそう)にかかったことがある人なら誰でも発症する可能性のある病気ですが、特に50歳を過ぎると発症率が上昇し、また、帯状疱疹後神経痛というつらい痛みが残りやすくなる傾向があります。この帯状疱疹を予防するための有効な手段として、ワクチン接種があります。大人にも効果的な帯状疱疹予防ワクチンについて理解しておきましょう。現在、日本で50歳以上の方を対象に使用できる帯状疱疹予防ワクチンには、主に二つの種類があります。一つは、「弱毒生水痘ワクチン」です。これは、もともと水痘の予防に使われている生ワクチンで、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高めることで、帯状疱疹の発症を抑える効果が期待できます。1回の皮下注射で済みますが、生ワクチンのため、免疫機能が著しく低下している方(例えば、免疫抑制剤を使用中の方や、HIV感染症の方など)には接種できません。もう一つは、より新しいタイプの「不活化ワクチン(シングリックス®)」です。これは、ウイルスの感染力を持たない成分を用いたワクチンで、2ヶ月の間隔をあけて2回の筋肉内注射が必要です。弱毒生水痘ワクチンに比べて、より高い発症予防効果と、帯状疱疹後神経痛の予防効果が報告されており、また、免疫機能が低下している方にも接種可能というメリットがあります。ただし、費用は弱毒生水痘ワクチンよりも高くなる傾向があります。どちらのワクチンも、帯状疱疹の発症を完全に防ぐものではありませんが、発症リスクを大幅に減らし、もし発症したとしても症状を軽くしたり、帯状疱疹後神経痛への移行を抑えたりする効果が期待できます。ワクチン接種の対象は、原則として50歳以上の方ですが、接種の可否や、どちらのワクチンが適しているかについては、医師とよく相談し、個人の健康状態やリスク、ワクチンの特徴、費用などを総合的に考慮して決定することが大切です。ワクチン接種は、皮膚科や内科、あるいは一部の予防接種専門クリニックなどで受けることができます。
帯状疱疹の予防ワクチンは大人にも有効?