リンパ節が腫れて痛むリンパ節炎の原因は様々ですが、多くは体内に侵入した病原体に対する免疫反応の結果として起こります。どのような原因が考えられるのでしょうか。最も一般的な原因は、細菌やウイルスによる「感染症」です。風邪やインフルエンザ、扁桃炎、咽頭炎といった上気道感染症では、首のリンパ節(頸部リンパ節)が腫れて痛むことがよくあります。また、虫歯や歯周病、口内炎といった口腔内の感染症や、中耳炎、外耳炎といった耳の感染症、副鼻腔炎(蓄膿症)なども、頸部リンパ節炎の原因となります。皮膚の傷や化膿(例えば、とびひや蜂窩織炎、おできなど)があると、その近くのリンパ節(例えば、腕の傷なら脇の下のリンパ節、足の傷なら足の付け根のリンパ節)が腫れることがあります。猫に引っ掻かれたり噛まれたりした後に、リンパ節が腫れて痛む「猫ひっかき病(バルトネラ菌感染症)」も、比較的よく見られる原因の一つです。ウイルス感染症としては、伝染性単核球症(EBウイルス感染症)やサイトメガロウイルス感染症、風疹、麻疹などでも、全身のリンパ節が腫れることがあります。結核菌による「結核性リンパ節炎」も、特に首のリンパ節に起こりやすいとされています。感染症以外にも、リンパ節炎の原因となる病気があります。例えば、「菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)」は、若い女性に比較的多く見られる原因不明の良性リンパ節炎で、発熱や倦怠感とともに、首のリンパ節の腫れと痛みが主な症状です。自己免疫疾患(膠原病)である全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチなどでも、リンパ節が腫れることがあります。そして、最も注意が必要なのが、「悪性リンパ腫」や「がんのリンパ節転移」といった悪性の病気です。これらは、痛みを伴わないことが多いですが、リンパ節が硬く、徐々に大きくなってきたり、発熱や体重減少、寝汗といった全身症状を伴ったりする場合は、悪性の可能性も考慮し、精密な検査が必要です。このように、リンパ節炎の原因は多岐にわたるため、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定してもらうことが大切です。
リンパ節炎の主な原因感染症から他の病気まで