インフルエンザの予防接種は、発症や重症化を防ぐ上で非常に有効な手段ですが、一方で、接種後に副反応が現れることもあります。その効果と副反応のバランスを正しく理解しておくことが、安心して予防接種を受けるためには大切です。まず、インフルエンザワクチンの効果ですが、前述の通り、発症を完全に防ぐものではありませんが、発症した場合の症状を軽くしたり、肺炎や脳症といった重篤な合併症のリスクを減らしたりする効果が期待できます。特に、高齢者や乳幼児、基礎疾患を持つ方といった重症化リスクの高い人々にとっては、この重症化予防効果が非常に重要となります。また、社会全体での流行を抑える集団免疫の効果も期待されています。次に、副反応についてです。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、生きたウイルスを使用していないため、ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありません。しかし、接種後にいくつかの副反応が現れることがあります。最も一般的なのは、接種部位の赤み、腫れ、痛み、かゆみといった局所的な反応です。これらは、通常、数日以内に自然に軽快します。また、全身的な副反応として、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛といった症状が現れることもあります。これも、多くは一時的なもので、数日で治まります。これらの副反応は、ワクチンによって体内で免疫が作られる過程で起こる正常な反応の一部と捉えることができます。非常に稀ではありますが、アナフィラキシーショック(急激なアレルギー反応)や、ギラン・バレー症候群といった重篤な副反応が起こる可能性もゼロではありません。しかし、その頻度は極めて低く、ワクチン接種によるメリット(重症化予防効果など)が、これらのリスクを大きく上回ると考えられています。もし、接種後に高熱が続く、接種部位の腫れや痛みがひどい、あるいは息苦しさや蕁麻疹といったアレルギーを疑う症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。医師は、予防接種の効果と副反応のリスクを総合的に判断し、個々の患者さんに最適なアドバイスをしてくれます。不安な点があれば、遠慮せずに医師や看護師、薬剤師に相談することが大切です。
インフルエンザ予防接種の副反応と効果のバランス