首や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れて痛むリンパ節炎。一時的なものであれば自然に治ることもありますが、放置しておくと、原因によっては様々なリスクが生じる可能性があります。どのような危険性があるのかを理解しておきましょう。まず、細菌感染によるリンパ節炎を放置した場合、炎症が周囲の組織に広がり、より広範囲な感染症(例えば、蜂窩織炎など)を引き起こす可能性があります。また、リンパ節内に膿が溜まり、膿瘍(のうよう:膿のたまり)を形成することもあります。この場合、抗菌薬だけでは治癒が難しく、切開して膿を出す処置が必要になることがあります。さらに、細菌が血液中に入り込み、全身に広がってしまうと、敗血症という命に関わる重篤な状態に至る危険性もゼロではありません。特に、糖尿病などの基礎疾患がある方や、免疫力が低下している方は、感染症が悪化しやすいため注意が必要です。結核性リンパ節炎を放置すると、結核菌が肺や他の臓器に広がる可能性があります。また、リンパ節が破れて皮膚に穴が開き、そこから膿が出続ける「瘻孔(ろうこう)」を形成することもあります。そして、最も見逃してはならないのが、悪性リンパ腫やがんのリンパ節転移といった悪性の病気が原因である場合です。これらの病気は、早期に発見し、適切な治療を開始しなければ、進行してしまい、治療が困難になったり、予後が悪くなったりする可能性があります。痛みを伴わないリンパ節の腫れが続く、徐々に大きくなる、硬くて動かない、発熱や体重減少、寝汗といった全身症状があるといった場合は、特に注意が必要です。また、原因不明のリンパ節の腫れや痛みが長期間続く場合も、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関を受診し、原因を特定してもらうことが大切です。リンパ節の腫れや痛みは、体が何らかの異常を知らせるサインです。そのサインを見逃さず、早めに適切な対応をとることが、健康を守るために重要です。