リンパ節炎の治療は、その原因となっている病気によって大きく異なります。そのため、まずは正確な診断を受け、原因を特定することが最も重要です。原因に応じた適切な治療を行うことで、症状の改善と合併症の予防を目指します。最も一般的な原因である細菌感染によるリンパ節炎の場合、治療の基本は抗菌薬(抗生物質)の投与です。原因菌として多い黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などに効果のあるペニシリン系やセフェム系、マクロライド系などの抗菌薬が、医師の判断によって選択されます。処方された抗菌薬は、症状が改善しても自己判断で中断せず、必ず指示された期間、最後まで飲み切ることが大切です。途中でやめてしまうと、再発したり、耐性菌を生み出したりする原因となります。痛みや発熱に対しては、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬など)が処方されることもあります。患部を冷やすと、痛みが和らぐことがあります。もし、リンパ節に膿が溜まっている場合(化膿性リンパ節炎)は、抗菌薬だけでは効果が不十分なことがあり、局所麻酔をした上で、皮膚を小さく切開して膿を排出する「排膿処置」が必要になることもあります。ウイルス感染(例えば、風邪や伝染性単核球症など)が原因の場合は、特効薬はないため、症状を和らげる対症療法(解熱鎮痛剤や安静、水分補給など)が中心となります。体の免疫力で自然に治癒するのを待ちます。結核性リンパ節炎の場合は、抗結核薬による長期間の治療が必要となります。菊池病の場合は、多くは自然に軽快しますが、症状が強い場合にはステロイド薬が用いられることもあります。自己免疫疾患(膠原病など)が原因であれば、その疾患に対する専門的な治療(ステロイド薬や免疫抑制剤など)が行われます。そして、悪性リンパ腫やがんのリンパ節転移が原因の場合は、化学療法や放射線治療、手術といった、がんの種類や進行度に応じた専門的な治療が必要となります。このように、リンパ節炎の治療は原因によって全く異なるため、自己判断は禁物です。必ず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従いましょう。