むずむず脚症候群は、その症状の特性上、深刻な睡眠障害を引き起こしやすい疾患です。夕方から夜間にかけて脚の不快感が強まり、じっとしていると耐えられなくなるため、寝床に入ってもなかなか寝付けない(入眠困難)、夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)、そして結果として睡眠時間が不足し、日中の強い眠気や倦怠感、集中力低下、気分の落ち込みなどに繋がることが少なくありません。このような睡眠障害が主な悩みである場合、あるいは他の睡眠障害(例えば、睡眠時無呼吸症候群など)の合併が疑われる場合には、「睡眠専門外来」の受診も有効な選択肢となります。睡眠専門外来には、日本睡眠学会認定医などの睡眠医療の専門家が在籍しており、むずむず脚症候群を含む様々な睡眠障害の診断と治療を行っています。睡眠専門外来では、詳細な問診や診察に加え、必要に応じて「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)」という精密検査が行われます。PSG検査は、一晩入院して行われる検査で、睡眠中の脳波、眼球運動、心電図、筋電図、呼吸状態、血中酸素飽和度などを記録し、睡眠の質や量、睡眠段階の分布、睡眠中の異常な身体運動などを客観的に評価します。むずむず脚症候群の患者さんの多くは、「周期性四肢運動障害(PLMD)」という、睡眠中に脚がピクピクと周期的に動く不随意運動を合併していることが知られており、PSG検査によってこのPLMDの有無や程度も確認することができます。PLMD自体も睡眠を妨げる原因となるため、その評価は治療方針を決定する上で重要です。また、PSG検査は、むずむず脚症候群と間違われやすい他の睡眠障害(例えば、睡眠時無呼吸症候群による夜間の覚醒や不快感)との鑑別にも役立ちます。治療としては、神経内科と同様に、鉄欠乏の補正や薬物療法(ドパミンアゴニストなど)が中心となりますが、睡眠専門医は、睡眠衛生指導(適切な睡眠環境や生活習慣のアドバイス)や、認知行動療法といった非薬物療法にも精通している場合が多く、より包括的なアプローチで睡眠の改善を目指すことができます。むずむず脚症候群による不眠に長年悩まされている方や、他の睡眠の問題も抱えている方は、一度、睡眠専門外来に相談してみることを検討してみましょう。
睡眠専門外来も選択肢、むずむず脚症候群と睡眠障害