喉の奥に赤い斑点を見つけても、特に痛みや発熱といった他の症状がない場合、「しばらく様子を見ても大丈夫かな?」と考える方もいるかもしれません。確かに、必ずしも重篤な病気が隠れているわけではありませんが、いくつかの可能性を念頭に置き、注意深く経過を観察することが大切です。痛みや発熱がない場合でも、喉に赤い斑点ができる原因としては、まず、ごく軽い咽頭炎や扁桃炎の初期、あるいは治りかけの状態が考えられます。ウイルスや細菌の感染力が弱かったり、体の抵抗力が比較的強かったりすると、本格的な炎症に至らずに、粘膜の軽い赤みや斑点だけで済むことがあります。また、アレルギー反応によって、喉の粘膜に赤い斑点や軽い腫れが生じることがあります。特定の食べ物や花粉、ハウスダストなどが原因となる「咽喉頭アレルギー」では、喉のイガイガ感やかゆみ、咳などを伴うこともありますが、痛みはあまりない場合もあります。さらに、刺激性の物質の吸入や、乾燥、あるいは声の使いすぎなどが、喉の粘膜に軽い炎症を引き起こし、赤い斑点のように見えることもあります。例えば、タバコの煙やホコリっぽい空気、あるいはカラオケで長時間歌った後などです。逆流性食道炎によって、胃酸が喉まで逆流し、それが刺激となって喉の粘膜が赤くなったり、赤い斑点が生じたりすることもあります。この場合は、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった他の症状を伴うことが多いですが、喉の違和感だけが主な症状であることもあります。そして、最も注意が必要なのは、初期の咽頭がんや喉頭がんといった悪性腫瘍の可能性です。これらは、初期には自覚症状が乏しく、たまたま鏡で見た時に赤い斑点やしこり、粘膜の色の変化などに気づくことがあります。特に、喫煙歴の長い方や、お酒をよく飲む方はリスクが高いため注意が必要です。このように、痛みがない場合でも、喉の赤い斑点の原因は様々です。もし、赤い斑点が数日経っても消えない、徐々に大きくなっている、あるいは他の気になる症状(声がれ、飲み込みにくさ、首のしこりなど)が現れてきた場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。
喉の赤い斑点痛みはないけど大丈夫?