大人の喉に赤い斑点が見られ、さらに体にも発疹が出ている場合、それは「溶連菌感染症(A群β溶血性連鎖球菌感染症)」の可能性があります。溶連菌感染症は、子どもの病気というイメージが強いかもしれませんが、大人も感染し、発症することがあります。そして、その症状の一つとして、特徴的な皮膚の発疹が現れることがあります。溶連菌感染症の主な症状は、突然の高熱と強い喉の痛みです。喉の奥を見ると、扁桃腺が赤く腫れ上がり、白い膿(白苔)が付着していたり、喉の粘膜に赤い点状の出血斑が見られたりします。舌がイチゴのように赤くブツブツになる「イチゴ舌」も、特徴的な所見の一つです。そして、これらの喉の症状とほぼ同時か、少し遅れて、皮膚に発疹が現れることがあります。この発疹は「猩紅熱様発疹(しょうこうねつようほっしん)」と呼ばれ、非常に細かく、粟粒(あわつぶ)のような赤い点状の発疹が、首や胸、脇の下、股といった皮膚の柔らかい部分から始まり、徐々に全身に広がっていきます。触るとザラザラとした紙やすりのような感触があり、かゆみを伴うこともあります。顔にも発疹が出ることがありますが、口の周りだけが白く抜けて見える「口囲蒼白(こういそうはく)」が特徴的とされることもあります。この猩紅熱様発疹は、通常、数日から一週間程度で消えていきますが、その後、手足の指先の皮膚などが薄く剥けてくる(落屑:らくせつ)ことがあります。ただし、大人の溶連菌感染症の場合、子どもに比べて、この典型的な猩紅熱様発疹は出にくい、あるいは軽微であることも少なくありません。喉の症状や発熱が主体となることが多いようです。もし、喉の赤い斑点とともに、体に上記のような特徴的な発疹が現れた場合は、溶連菌感染症の可能性が高いと考えられます。溶連菌感染症は、抗菌薬(抗生物質)による適切な治療が必要であり、治療を怠るとリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった重大な合併症を引き起こす可能性があるため、速やかに医療機関(内科や耳鼻咽喉科など)を受診し、迅速検査などを受けて診断を確定してもらいましょう。
溶連菌感染症?大人の喉の赤い斑点と発疹