喉の奥にできた熱のない水ぶくれが、数日経っても改善しない、あるいは一旦治ったように見えても繰り返し現れるという場合、より慎重な対応が必要です。一過性の軽微な炎症や粘液嚢胞であれば自然に軽快することも多いですが、症状が長引いたり繰り返したりする背景には、何らかの持続的な原因や、より注意が必要な疾患が隠れている可能性も考慮しなければなりません。まず、慢性的な刺激が原因となっているケースが考えられます。例えば、喫煙習慣のある人は、タバコの煙に含まれる有害物質によって常に喉の粘膜が刺激され、炎症やリンパ濾胞の腫れが起こりやすくなります。アルコールの過剰摂取も同様です。また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)による後鼻漏(鼻水が喉に流れ込むこと)が持続していると、喉の粘膜が常に湿った状態になり、炎症やイガイガ感、濾胞の腫れなどが慢性化しやすくなります。胃食道逆流症(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)では、胃酸が喉まで逆流してくることで、喉の粘膜が化学的な刺激を受け、慢性的な炎症や肉芽形成、声のかすれなどを引き起こすことがあります。これらの場合、根本的な原因(禁煙、アレルギー治療、逆流症治療など)に対処しない限り、喉の症状は改善しにくいでしょう。また、繰り返しになりますが、稀ではあるものの、良性腫瘍(乳頭腫など)や悪性腫瘍(咽頭がん、喉頭がんなど)の可能性も、症状が長引く場合には念頭に置く必要があります。これらの腫瘍は、初期には自覚症状が乏しいこともありますが、徐々に大きくなったり、周囲の組織に影響を与えたりすることで、持続的な喉の違和感、飲み込みにくさ、声の変化、出血などを引き起こします。特に、50歳以上で喫煙歴や多量の飲酒歴がある方は、がんのリスクが高まるため注意が必要です。その他、自己免疫疾患の一部が口腔内や咽頭に症状を現すこともあります。したがって、熱のない喉の水ぶくれが1週間以上続く、徐々に大きくなる、痛みが強くなる、出血がある、声がかれる、飲み込みにくい、体重が減少する、首にしこりが触れるといった症状が見られる場合には、自己判断せずに必ず耳鼻咽喉科を受診し、精密な検査(ファイバースコープ検査、必要に応じて生検など)を受けるようにしてください。早期発見・早期治療が、どのような疾患であっても重要です。
喉の奥の水ぶくれ、長引く場合や繰り返す時の注意