子供のまぶたが赤く腫れて痛がっている、あるいはまぶたにしこりのようなものができた、といった場合、まず疑われるのが「ものもらい」です。「ものもらい」は医学用語ではなく、まぶたの炎症性疾患の総称として一般的に使われる言葉で、主に「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の二つのタイプがあります。どちらも子供によく見られる目のトラブルです。まず「麦粒腫」は、まぶたの縁にある汗や脂を出す腺(マイボーム腺やまつ毛の毛根など)に細菌が感染して起こる急性の化膿性炎症です。黄色ブドウ球菌などが原因菌となることが多いです。症状としては、まぶたの一部が赤く腫れ上がり、ズキズキとした痛みや熱感、押すと痛む圧痛が現れます。まぶたの表面に膿点(白や黄色の膿の出口)が見られることもあります。まぶたの外側にできる外麦粒腫と、内側にできる内麦粒腫があります。一方、「霰粒腫」は、マイボーム腺の出口が詰まり、中に分泌物が溜まって肉芽腫(にくげしゅ)という慢性の炎症性のしこりができる病気です。細菌感染を伴わないため、麦粒腫のような急な痛みや赤みは少なく、まぶたの中にコリコリとしたしこりが触れるのが特徴です。ただし、この霰粒腫に細菌が感染すると、麦粒腫のように赤く腫れて痛む「急性霰粒腫」という状態になることもあります。子供は、大人に比べて免疫機能が未熟であったり、目をこすったり汚れた手で触ったりする機会が多いため、麦粒腫になりやすい傾向があります。また、マイボーム腺の機能が活発なため、霰粒腫も起こりやすいと言われています。これらの「ものもらい」の症状に気づいたら、まずは眼科を受診し、正確な診断を受けることが大切です。