大人の喉の奥に熱のない水ぶくれが見られ、耳鼻咽喉科を受診した場合、医師はまず問診と視診で状態を把握します。問診では、症状の出現時期、自覚症状(痛み、違和感、飲み込みにくさなど)、既往歴、生活習慣(喫煙、飲酒など)、アレルギーの有無などを詳しく聞かれます。視診では、ペンライトや舌圧子(舌を押さえるヘラ)を用いて口の中や喉の入り口を観察し、さらに必要に応じて喉頭鏡(小さな鏡のついた器具)や、より詳細な観察が可能なファイバースコープ(細い管の先端にカメラがついた内視鏡)を用いて、喉の奥深くや声帯の状態まで詳しく調べます。ファイバースコープ検査は、鼻から挿入することが多く、比較的短時間で済み、患者さんの負担も少ない検査です。この検査によって、水ぶくれの正確な位置、大きさ、色調、形状、周囲の粘膜の状態などが詳細に評価され、多くの場合は診断の見当がつきます。原因や診断に応じて、治療法は異なります。例えば、単純な「粘液嚢胞」であれば、自然に破れて治癒することも多いため、特に症状がなければ経過観察となることもあります。大きくて邪魔になる場合や、繰り返し再発する場合には、局所麻酔下に針で穿刺して内容物を排出したり、嚢胞壁ごと切除したりする処置が行われることもあります。「リンパ濾胞の腫脹」で、喉のイガイガ感などが強い場合には、消炎剤やうがい薬が処方されたり、場合によっては薬液を塗布したりする処置が行われることもあります。「口内炎」であれば、ステロイド軟膏の塗布や、消炎鎮痛薬の内服などが検討されます。ウイルス感染(ヘルパンギーナなど)が疑われる場合は、特効薬はなく、症状を和らげる対症療法(解熱鎮痛剤、うがい薬など)が中心となります。アレルギーが原因と診断された場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、点鼻薬、原因アレルゲンの回避指導などが行われます。もし、検査の結果、腫瘍性の病変(良性・悪性を問わず)が疑われた場合には、診断を確定するために組織の一部を採取して病理検査(生検)が行われます。その結果に基づいて、手術や放射線治療、化学療法といった専門的な治療が必要となることもあり、その場合は高次医療機関へ紹介されることになります。いずれにしても、正確な診断に基づいて、個々の状態に合わせた適切な治療が行われるため、自己判断せずに専門医の診察を受けることが最も大切です。
耳鼻咽喉科での検査と治療、喉の水ぶくれはどうなる?