バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、全身の代謝が異常に高まり、様々な症状が現れる自己免疫疾患です。どのような症状に気づけば、バセドウ病の可能性を考えるべきなのでしょうか。主な症状を理解しておきましょう。まず、甲状腺ホルモンの過剰によって、全身の代謝が亢進するため、以下のような症状が見られます。「動悸・頻脈」:心臓の拍動が速くなり、ドキドキとしたり、脈が飛んだりするように感じます。「多汗・暑がり」:常に体が熱っぽく感じ、汗をかきやすくなります。暑い場所が苦手になります。「体重減少」:食欲はむしろ増進することが多いにもかかわらず、代謝が亢進するため体重が減っていきます。「手の震え(振戦)」:指先などが細かく震えることがあります。「疲労感・倦怠感」:体が常に興奮状態にあるため、疲れやすく、だるさを感じやすくなります。「イライラ感・集中力の低下・不眠」:精神的に不安定になり、落ち着きがなくなったり、怒りっぽくなったり、眠れなくなったりすることがあります。「下痢・軟便」:腸の動きが活発になり、便通が頻回になったり、下痢をしやすくなったりします。次に、バセドウ病に特徴的な症状として、「甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)」と「眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)」があります。甲状腺腫は、首の前面、喉仏の下あたりにある甲状腺全体がびまん性(全体的に均一)に腫れ上がるものです。触ると柔らかく、痛みは伴わないことが多いです。眼球突出は、眼球が前方に突き出てくる症状で、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の代表的な症状の一つです。その他にも、まぶたが腫れたり、物が二重に見えたり(複視)、視力低下、眼の痛みや異物感といった眼症状が現れることがあります。また、足のすねなどに、皮膚が硬く盛り上がる「前脛骨粘液水腫(ぜんけいこつねんえきすいしゅ)」という稀な皮膚症状が見られることもあります。これらの症状は、全ての人に同じように現れるわけではなく、症状の種類や程度には個人差が大きいのが特徴です。もし、これらの症状が複数当てはまる場合は、内分泌内科や甲状腺専門医を受診し、相談してみることをお勧めします。