むずむず脚症候群の疑いで神経内科を受診した場合、医師はまず詳細な問診を行い、診断基準に基づいて評価を進めます。国際的な診断基準では、主に以下の4つの特徴を満たす場合にむずむず脚症候群と診断されます。(1) 脚を動かしたいという強い欲求を伴う、通常は不快な感覚が脚に起こる。(2) その強い欲求や不快な感覚は、安静にして座っていたり横になっていたりする時に始まるか、ひどくなる。(3) その強い欲求や不快な感覚は、脚を動かすこと(歩き回る、ストレッチするなど)によって、少なくとも部分的に、あるいは完全に軽減する。(4) その強い欲求や不快な感覚は、日中よりも夕方から夜間にかけて悪化する、あるいは夕方から夜間にのみ起こる。これらの特徴に加えて、症状の頻度や重症度、睡眠への影響、日中の機能障害の程度なども詳しく聞き取られます。また、むずむず脚症候群の原因や悪化因子となる可能性のある、鉄欠乏、腎不全、妊娠、末梢神経障害、特定の薬剤(抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など)の服用歴などについても確認されます。身体診察では、神経学的な異常がないか、他の疾患(例えば、下肢静脈瘤や関節炎など、脚の不快感を引き起こす可能性のあるもの)がないかなどを評価します。血液検査は非常に重要で、特に血清フェリチン値(貯蔵鉄の指標)を測定し、鉄欠乏の有無を確認します。鉄欠乏はむずむず脚症候群の重要な原因の一つと考えられており、フェリチン値が低い場合には鉄剤の補充療法が行われます。治療法は、症状の重症度や原因によって異なります。軽症の場合は、生活習慣の改善(カフェインやアルコールの制限、就寝前のストレッチ、規則正しい睡眠習慣など)や、鉄欠乏があれば鉄剤の補充で症状が改善することがあります。症状が中等症以上で、生活に支障が出ている場合には、薬物療法が検討されます。第一選択薬としては、脳内のドパミンの働きを補うドパミンアゴニスト(プラミペキソール、ロチゴチンなど)が用いられます。その他にも、抗けいれん薬(ガバペンチン エナカルビルなど)や、場合によってはオピオイド系の薬剤が用いられることもあります。薬物療法は、医師の指示に従って適切に行うことが重要であり、副作用や長期使用に伴う問題(効果減弱や症状悪化など)にも注意が必要です。定期的な通院と医師との対話で最適な治療法を見つけることが大切です。
神経内科でのむずむず脚症候群の診断と治療法