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急性の下痢と慢性の下痢原因と受診の目安
下痢は、その持続期間によって「急性下痢」と「慢性下痢」に分けられ、それぞれ原因や対処法、受診の目安が異なります。まず、急性下痢は、発症から2週間以内に治まる下痢を指します。最も一般的な原因は、ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)や細菌(サルモネラ菌、カンピロバクター、O-157など)による感染性胃腸炎(食中毒を含む)です。その他、暴飲暴食、冷たいものの摂りすぎ、精神的なストレス、薬剤の副作用なども急性下痢の原因となります。急性下痢の場合、多くは自然に軽快しますが、脱水症状を防ぐための水分と電解質の補給が非常に重要です。受診の目安としては、高熱がある、激しい腹痛や嘔吐を伴う、血便や粘血便が出る、水分も全く摂れない、ぐったりしている、あるいは症状が数日経っても改善しないといった場合は、医療機関(内科や消化器内科など)を受診しましょう。特に、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している方は、脱水症状を起こしやすく、重症化するリスクがあるため、早めの受診が大切です。一方、慢性下痢は、4週間以上続く下痢を指します(2週間から4週間の場合は遷延性下痢と呼ばれることもあります)。慢性下痢の原因は多岐にわたり、より詳しい検査が必要となることが多いです。代表的な原因疾患としては、「過敏性腸症候群(IBS)」があります。これは、ストレスなどが原因で腸の機能に異常が生じ、下痢や便秘、腹痛を繰り返す病気です。「炎症性腸疾患(IBD)」である潰瘍性大腸炎やクローン病も、慢性的な下痢(しばしば血便を伴う)や腹痛、体重減少などを引き起こします。また、「乳糖不耐症」のように、特定の食品成分を消化吸収できないことが原因で下痢が続くこともあります。その他、慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群、あるいは大腸がんといった悪性腫瘍なども、慢性下痢の原因となり得ます。慢性下痢の場合は、自己判断せずに、必ず消化器内科を受診し、原因を特定してもらうことが重要です。原因に応じた適切な治療と生活指導を受けることで、症状の改善とQOL(生活の質)の向上が期待できます。