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急にお酒が飲めなくなった!考えられる病気とは?
これまで普通にお酒を楽しめていたのに、ある日突然、もしくはいつの間にかお酒が飲めなくなった、あるいは少量でも気分が悪くなるようになった、という経験はありませんか。このような急な変化は、単なる体調不良や加齢によるものだけでなく、何らかの病気が隠れているサインである可能性も考えられます。まず、最も代表的な原因として考えられるのが「肝機能の低下」です。肝臓は、アルコールを分解する主要な臓官であり、アルコール代謝の中心的な役割を担っています。しかし、長年の飲酒習慣や、ウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎など)、脂肪肝、自己免疫性肝疾患、薬剤性肝障害などによって肝機能が低下すると、アルコールの分解能力が著しく落ちてしまいます。その結果、少量のアルコールでも血中アルコール濃度が上昇しやすくなり、頭痛、吐き気、動悸、めまいといった悪酔いの症状が出やすくなったり、二日酔いがひどくなったりして、「お酒が飲めなくなった」と感じるようになるのです。肝硬変や肝がんといった重篤な肝疾患に進行している場合も、同様の症状が現れることがあります。次に、「消化器系の疾患」も影響することがあります。例えば、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などがあると、アルコールの刺激によって症状が悪化し、腹痛や吐き気、胸焼けなどが強くなるため、お酒を飲むのが辛くなることがあります。また、膵炎(すいえん)も、アルコールが大きな原因の一つであり、一度発症すると飲酒によって再発したり悪化したりするため、飲酒が困難になります。さらに、「精神的な要因や疾患」も無視できません。うつ病や不安障害、パニック障害といった精神疾患を抱えている場合、アルコールに対する感受性が変化したり、薬物療法との兼ね合いで飲酒が制限されたりすることがあります。また、強いストレスやトラウマ体験などがきっかけで、心理的にアルコールを受け付けなくなることもあります。その他にも、稀ではありますが、アレルギー反応(アルコールそのものや、お酒に含まれる添加物などに対するアレルギー)、内分泌系の疾患(甲状腺機能異常など)、あるいは特定の薬の副作用など、様々な要因が考えられます。急にお酒が飲めなくなったと感じたら、自己判断せずに、まずは医療機関を受診し、原因を特定することが大切です。