耳掃除は、耳の中を清潔に保つためと思われがちですが、やりすぎてしまうと、かえって様々な耳のトラブルを引き起こす可能性があります。どのような問題が起こりうるのか、具体的に見ていきましょう。まず、最も多いトラブルの一つが「外耳道炎(がいじどうえん)」です。これは、耳の穴(外耳道)の皮膚に炎症が起こる病気です。耳掃除の際に綿棒や耳かきで外耳道のデリケートな皮膚を傷つけてしまったり、耳垢を取りすぎて皮膚のバリア機能が低下したりすると、そこから細菌や真菌(カビ)が感染しやすくなり、炎症を引き起こします。症状としては、耳のかゆみ、痛み、耳だれ(耳から液体が出てくる)、耳の詰まり感、聞こえにくさなどが現れます。次に、「耳垢栓塞(じこうせんそく)」です。耳垢は、通常、自然に外側へ排出されますが、耳掃除で耳垢を奥へ押し込んでしまうと、耳の奥で耳垢が溜まって固まり、耳の穴を塞いでしまうことがあります。これが耳垢栓塞で、耳の詰まり感や聞こえにくさ、耳鳴り、自分の声が響く感じ(自声強聴)といった症状が現れます。また、「外耳道湿疹(がいじどうしっしん)」も、耳掃除のしすぎが原因で起こりやすいトラブルです。外耳道の皮膚が乾燥したり、刺激を受け続けたりすることで、湿疹ができ、強いかゆみやじゅくじゅくとした浸出液が出ることがあります。さらに、耳掃除の際に誤って鼓膜を傷つけてしまう「鼓膜損傷」も、非常に稀ではありますが起こり得ます。鼓膜に穴が開くと、激しい痛みや出血、聞こえにくさ、めまいなどが生じることがあります。そして、耳掃除を頻繁に行うことで、かえって耳垢が作られやすくなったり、耳垢が硬く乾燥しやすくなったりするとも言われています。これらのように、耳掃除のしすぎは、耳の自然な保護機能を損ない、様々な不快な症状や病気を引き起こすリスクを高めてしまうのです。耳の健康を守るためには、適切な耳掃除の頻度と方法を理解することが大切です。
耳掃除のしすぎで起こる耳のトラブルとは?