歩くと土踏まずが痛む場合、最も頻繁に見られる原因の一つが「足底筋膜炎(そくていきんまくえん)」です。この疾患にはいくつかの特徴的な症状があり、セルフチェックである程度推測することができます。ただし、正確な診断は医師による診察が必要です。足底筋膜炎の最も典型的な症状は、「朝起きた時の一歩目の強い痛み」です。夜間寝ている間に足底筋膜が収縮した状態になり、朝起きて体重をかけると急に引き伸ばされるため、強い痛みが生じると考えられています。この痛みは、しばらく歩いているうちに徐々に和らいでくることが多いですが、また長時間座っていて動き始める際にも同様の痛みが現れることがあります(「始動時痛」とも呼ばれます)。痛みの場所としては、かかとの骨の前方内側(土踏まずに近い部分)や、土踏まずの中央部分に圧痛(押すと痛む)があることが一般的です。人によっては、足の指を反らせると足底筋膜が突っ張って痛みが増すこともあります。痛みの性質は、ズキズキとした鋭い痛みであったり、ジンジンとした鈍い痛みであったり、様々です。症状が悪化すると、歩行中常に痛みを感じるようになったり、安静時にも痛みが続いたりすることもあります。セルフチェックとしては、まず上記の典型的な症状(朝の一歩目の痛み、始動時痛、かかとや土踏まずの圧痛)があるかどうかを確認します。また、アキレス腱が硬い人も足底筋膜炎になりやすいと言われているため、アキレス腱の柔軟性をチェックしてみるのも良いでしょう。壁に手をついて片足を後ろに引き、かかとを床につけたまま膝を伸ばしてアキレス腱をストレッチした際に、ふくらはぎに強い張りや痛みを感じる場合は、アキレス腱が硬い可能性があります。さらに、過去に急に運動量を増やしたり、硬い地面の上で長時間運動したり、底の薄い靴やヒールの高い靴をよく履いたり、体重が急に増加したりといった、足底筋膜に負担をかけるような要因がなかったかを振り返ってみることも参考になります。これらの項目に複数当てはまる場合は、足底筋膜炎の可能性が高いと考えられますが、自己判断せずに、整形外科や足の専門医を受診し、正確な診断を受けることが重要です。