急にお酒が飲めなくなった、あるいは飲酒後に体調が悪くなることが増えた場合、どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。まず、最も一般的な受診先としては「内科」または「消化器内科」が挙げられます。特に、肝機能の低下や消化器系の疾患が疑われる場合には、消化器内科が専門となります。かかりつけの内科医がいる場合は、まずはそこで相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうという流れが良いでしょう。医療機関では、まず詳細な「問診」が行われます。いつからお酒が飲めなくなったのか、どのような症状が出るのか(吐き気、頭痛、腹痛、倦怠感など)、飲酒量や飲酒頻度の変化、過去の飲酒歴、既往歴、現在服用中の薬、生活習慣(食事、睡眠、ストレスなど)、家族歴などを詳しく聞かれます。これらの情報は、原因を特定する上で非常に重要です。次に、身体診察として、腹部の触診(肝臓や脾臓の腫れ、圧痛の有無など)や、黄疸の有無などを確認します。そして、原因究明のためにいくつかの「検査」が行われます。最も基本的なのは「血液検査」です。肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP、ビリルビン、アルブミンなど)で肝臓の状態を評価し、肝炎ウイルスの有無、貧血の有無、血糖値、腎機能なども調べます。場合によっては、膵臓の酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)や、甲状腺ホルモンなどを測定することもあります。アルコールの影響を調べるために、アルコール依存症のスクリーニング検査(AUDITなど)が行われることもあります。「腹部超音波検査(エコー検査)」も重要な検査の一つです。肝臓の大きさや形状、脂肪肝の有無、肝硬変や肝がんの兆候、胆石、膵臓の状態などを、体に負担なく調べることができます。必要に応じて、「腹部CT検査」や「MRI検査」といった、より詳細な画像検査が行われることもあります。胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などが疑われる場合には、「上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)」が行われ、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察し、必要であれば組織の一部を採取して病理検査(生検)を行います。これらの問診、診察、各種検査の結果を総合的に判断し、医師が診断を下します。原因が特定されれば、それに応じた治療が開始されます。原因が身体的な疾患ではなく、精神的な要因が強いと考えられる場合には、精神科や心療内科への受診を勧められることもあります。