むずむず脚症候群は、大人だけでなく子供にも発症することがあります。しかし、子供の場合、自分の症状をうまく言葉で表現できなかったり、単に「寝相が悪い」「落ち着きがない」と見過ごされたりして、診断が遅れることも少なくありません。子供のむずむず脚症候群の症状としては、大人と同様に、夕方から夜間にかけて脚に不快な感覚が現れ、脚を動かしたくなるというものですが、子供特有の表現として「脚が痛い(成長痛と間違われることも)」「脚がムズムズして眠れない」「ベッドの中でゴロゴロしてしまう」といった訴えが見られることがあります。また、多動性や不注意といったADHD(注意欠如・多動症)の症状と似ているため、誤解されることもあります。これらの症状によって、寝つきが悪い、夜中に何度も起きる、朝起きられない、日中の眠気、集中力の低下、イライラしやすいといった問題が生じ、学業や日常生活に影響を及ぼすことがあります。では、子供にむずむず脚症候群が疑われる場合、どこに相談すれば良いのでしょうか。まず、かかりつけの「小児科医」に相談するのが第一歩です。小児科医は、子供の成長や発達に関する知識が豊富であり、症状の初期評価や、他の疾患(例えば、成長痛や鉄欠乏性貧血など)との鑑別を行ってくれます。特に、子供のむずむず脚症候群も鉄欠乏との関連が指摘されているため、血液検査で鉄の状態を確認することが重要です。鉄欠乏が見つかれば、食事指導や鉄剤の処方などが行われます。もし、小児科での対応だけでは診断や治療が難しい場合や、より専門的な評価が必要と判断された場合には、小児神経科医のいる「小児神経科」や、睡眠障害を専門とする「小児睡眠外来」、あるいは成人と同様に「神経内科」や「睡眠専門外来」へ紹介されることがあります。これらの専門科では、より詳細な問診や検査(必要であれば終夜睡眠ポリグラフ検査など)を行い、診断を確定し、治療方針を決定します。治療は、まず生活習慣の改善(規則正しい睡眠習慣、カフェイン制限など)や鉄補充が基本となりますが、症状が重い場合には、成人で用いられる薬剤(ドパミンアゴニストなど)を、年齢や体重を考慮して少量から慎重に使用することもあります。子供の不眠や落ち着きのなさの背景に、むずむず脚症候群が隠れている可能性も念頭に置き、気になる症状があれば早めに専門医に相談することが大切です。