まぶたにしこりができる霰粒腫(ものもらいの一種)は、マイボーム腺の詰まりによって起こる慢性の炎症です。麦粒腫のような急な痛みや赤みは少ないことが多いですが、この霰粒腫も自然に治癒する可能性はあるのでしょうか。霰粒腫の場合、麦粒腫とは少し経過が異なります。細菌感染が主ではないため、体の免疫反応だけで急速に消えてなくなるというよりは、時間をかけて徐々に吸収されたり、内容物が自然に排出されたりして治癒することがあります。特に、小さな霰粒腫であれば、数週間から数ヶ月、場合によってはそれ以上の時間をかけて自然に消退していくケースも見られます。この過程では、温罨法(おんあんぽう:まぶたを温めること)でマイボーム腺の詰まりを和らげたり、まぶたを清潔に保ったりすることが、自然治癒を助けると考えられています。しかし、霰粒腫も全てのケースで自然治癒するわけではありません。しこりが大きい場合や、長期間変化がない場合、あるいは炎症を繰り返す場合には、自然治癒が期待しにくいこともあります。また、霰粒腫に細菌が感染して急性炎症を起こした「急性霰粒腫」の状態になると、麦粒腫と同様に赤く腫れて痛むため、抗菌薬による治療が必要になります。霰粒腫の自然治癒を待つかどうかは、しこりの大きさ、炎症の有無、子供の年齢や自覚症状、そして美容的な側面などを考慮して、眼科医と相談しながら決めるのが一般的です。軽度で症状がなければ経過観察となることも多いですが、しこりが大きくて見た目が気になる場合や、角膜を圧迫して乱視の原因になる可能性がある場合、あるいは頻繁に炎症を繰り返すような場合には、ステロイドの点眼や眼軟膏、しこりへのステロイド注射、あるいは外科的な切開・摘出手術といった治療が検討されます。手術は、局所麻酔で行われることが多く、比較的短時間で済みますが、子供の場合は全身麻酔が必要になることもあります。霰粒腫は、麦粒腫に比べて治癒までに時間がかかることが多い疾患であり、根気強い対応が必要となることもあります。
子供の霰粒腫ー自然治癒の可能性と経過の違い